疥癬とは、ヒゼンダニ(疥癬虫:かいせんちゅう)と呼ばれる小さなダニが人の皮膚に寄生することによって引き起こされる、かゆみを伴う皮膚病です。
疥癬には、通常疥癬と、より感染力の強い角化型疥癬の2種類があります。
疥癬を放置していると、皮膚の角化やかゆみがひどくなったり、人にうつしたりするリスクがあります。
疥癬患者は、年間8~15万人といわれており、人と人との接触を通して感染していくのが特徴です。
感染拡大を止めるためには、早期に発見して適切な治療を受けることが大切です。
疥癬(かいせん)とは、ヒゼンダニ(疥癬虫)と呼ばれる小さなダニが皮膚に寄生して起こる皮膚疾患です。
人から人へ感染する皮膚の病気なので、早期に発見して適切な治療を行う必要があります。
そこで今回は、疥癬の原因や症状、治療法、予防のポイントなどについてご紹介します。
疥癬を防いで健康な皮膚を保ちたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
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疥癬とは、ヒゼンダニ(疥癬虫:かいせんちゅう)と呼ばれる小さなダニが人の皮膚に寄生することによって引き起こされる、かゆみを伴う皮膚病です。
疥癬には、通常疥癬と、より感染力の強い角化型疥癬の2種類があります。
疥癬を放置していると、皮膚の角化やかゆみがひどくなったり、人にうつしたりするリスクがあります。
疥癬患者は、年間8~15万人といわれており、人と人との接触を通して感染していくのが特徴です。
感染拡大を止めるためには、早期に発見して適切な治療を受けることが大切です。
疥癬の原因は、ヒゼンダニです。
ヒゼンダニは小さなダニですが、虫眼鏡で確認できます。
ヒゼンダニは手首や手のひら、指の隙間、肘、脇の下などに「疥癬トンネル」と呼ばれる横穴を掘り、その中に卵を産みつけて、幼虫から成虫になるのです。
ヒゼンダニにとって、人の体温は最も生活しやすい温度だといわれています。
人の肌から離れたら長くは生きられず、乾燥や高温に弱いため、50℃以上の環境に10分間以上さらされると死ぬことがわかっています。
通常疥癬と角化型疥癬では、感染力が異なります。
それぞれの感染経路としては、以下のようなものがあります。
疥癬の種類と感染経路
疥癬の種類 | 感染経路 |
---|---|
通常疥癬 | 直接経路
|
角化型疥癬 |
|
通常疥癬の場合、主にダニの寄生した指の間に、かゆみを伴う赤いできものが出現します。
同時にアレルギー反応として、腕や足、胸、お腹などに湿疹のような赤いブツブツができます。
角化型疥癬は、免疫力の低下した高齢者の方によく見られるタイプです。
垢が蓄積した灰色~黄白色の厚いカサブタのようなものが、手足やお尻、肘、膝、爪などに出現します。
このカサブタに多数のヒゼンダニが寄生しているので、感染力が高い点に注意が必要です。
通常疥癬と角化型疥癬のどちらであっても、人によっては激しいかゆみを伴うことがあります。
疥癬が治った後でも、かゆみが残るケースは少なくありません。
男性の場合は、とくに以下のような部分にしこり(結節)ができることがあります。
男性に症状が現れる箇所
このような症状を放置していると、かゆみや腫れがひどくなる恐れがあります。
女性は、以下のような部位に赤みがかった小さな隆起(紅斑性小丘疹)が多発することがあります。
女性に症状が現れる箇所
この症状は、激しいかゆみを伴うケースが多いです。
放置していると、かゆみがひどくなったり、他の人にうつしたりするリスクが高くなります。
通常疥癬から感染した場合は、症状の出ない潜伏期間が1~2ヶ月程度あるといわれています。
潜伏期間中はヒゼンダニの数が少ないため、他の人にうつす可能性は低いです。
ただし、角化型疥癬の場合は感染力が強いので、通常疥癬よりも潜伏期間が短く、人にうつしやすい点に注意しましょう。
疥癬の検査は、症状があればいつでも可能です。
感染拡大を予防するためには早期発見が大切なので、疥癬が疑われる場合は早めに検査を受けましょう。
さらに感染がわかった場合は、家族や一緒に寝泊りした人などにも検査が必要です。
疥癬の検査では、主に顕微鏡検査やダーモスコピー検査を行います。
皮膚にヒゼンダニの卵や虫体が確認されれば、疥癬の診断が確定します。
なお、疥癬は、血液検査では診断できません。
顕微鏡検査およびダーモスコピー検査の概要や、保険診療の場合の参考費用は以下のとおりです。
検査方法と参考費用(保険診療の場合)
方法名 | 概要 | 参考費用 |
---|---|---|
顕微鏡検査 | ピンセットやハサミを使って症状が出ている部位の皮膚を少しだけ切り取り、顕微鏡で観察する | 約700円 |
ダーモスコピー検査 | 皮膚を観察できる特殊な皮膚拡大鏡(ダーモスコープ)で皮膚を直接診て、ヒゼンダニがいないか確認する | 約200円 |
自由診療の場合の検査費用は、クリニックによって異なります。
保険診療と異なり、検査費用がすべて自己負担となる点に注意が必要です。
検査方法と参考費用(自由診療の場合)
方法名 | 概要 | 参考費用 |
---|---|---|
顕微鏡検査 | ピンセットやハサミを使って症状が出ている部位の皮膚を少しだけ切り取り、顕微鏡で観察する | 約2,333円 |
ダーモスコピー検査 | 皮膚を観察できる特殊な皮膚拡大鏡(ダーモスコープ)で皮膚を直接診て、ヒゼンダニがいないか確認する | 約667円 |
疥癬の治療を何科で受ければ良いか迷ったら、皮膚科か性病科を受診しましょう。
なお、オイラックスやイオウなど、一部の塗り薬は市販で購入できます。
ただし、皮膚の状態によって適切な薬は異なるので、自己判断で市販薬を使用するのは避けるのが無難です。
疥癬に効果的な飲み薬は、市販されていません。
また、市販の殺虫剤を人体に使った際の効果や安全性は確認されていないので、殺虫剤を使うのは避けましょう。
疥癬の治療は、主に飲み薬と塗り薬を用いて行います。
治療が保険適用されるかどうかは、病院の治療方針などによってさまざまです。
保険が適用された場合は、自己負担が治療費の3割で済みます。
治療方法と参考費用(保険診療の場合)
方法名 | 概要 | 参考費用 |
---|---|---|
飲み薬 | ヒゼンダニを殺すことを目的とする |
|
塗り薬 | ヒゼンダニを殺すことを目的とする |
|
自由診療の場合は、診察料や薬代などがすべて自費負担となります。
費用はクリニックによって異なるので、詳細はクリニックにお問い合わせください。
治療方法と参考費用(自由診療の場合)
方法名 | 概要 | 参考費用 |
---|---|---|
飲み薬 | ヒゼンダニを殺すことを目的とする |
|
塗り薬 | ヒゼンダニを殺すことを目的とする |
|
疥癬の治療では、以下のような治療薬が使用されます。
疥癬の治療に使われる薬
飲み薬 |
|
塗り薬 |
|
かゆみ止め |
|
塗り薬が使われる場合には、塗り残しがないよう、全身にまんべんなく塗るのがポイントです。
とくに手足や外陰部には、念入りに塗ってください。
かゆみが激しい場合は、かゆみ止めの薬を活用することもあります。
薬の使い方ややめる時期については、自分だけで判断せず、必ず医師の指示に従いましょう。
しっかりと治療した場合、2週間程度で症状は軽快します。
通常疥癬の場合は、3週間~1ヶ月ほどで終息するでしょう。
ただし治った後も、3ヶ月程度は皮膚のチェックを念入りに行う必要があります。
一方で角化型疥癬の場合は、周囲の流行も含めて、終息までに約2ヶ月かかります。
高齢者の場合は、もっと長くなるケースも少なくありません。
治った後も、6ヶ月程度は皮膚のチェックをしてください。
なお、一度疥癬にかかったことのある方は、治った後もかゆい感覚が残る場合があります。
疥癬を予防できる薬剤やワクチンはありません。
予防するためには、疥癬にかかっている方に触らないようにしましょう。
また手をしっかり洗い、疥癬にかかっている方が触れたものにも接触しないよう心がけてください。
なお、疥癬は性行為以外からの感染も多い病気であるため、性行為時にコンドームをつけるだけでは十分な予防になりません。
感染者と同じ部屋で布団を接して寝ている場合、無症状であっても検査および治療を受けるのがおすすめです。
自分だけが治療をしても、家族や周りの方が疥癬にかかっていれば、感染を繰り返す「ピンポン感染」のリスクがあります。
ピンポン感染を防ぐためには、家族や周りの方も検査・治療を受けましょう。
また疥癬にかかっている方と接触することで、感染のリスクが高まります。
そのため疥癬の治療中は、セックスを避けましょう。
疥癬の診察は、皮膚科か性病科などで行っています。
不安な場合、医師に相談してみてください。
疥癬についてよくある質問をまとめました。
A.疥癬の状態によっては、自然治癒することもあります。
しかし治療を受けずに放置していると、湿疹になったり、家族などにうつしてしまったりするリスクがある点に注意が必要です。
感染拡大を防ぐためにも、疥癬かもしれないと思ったら、早めに病院を受診しましょう。
A.妊娠中に疥癬が発覚した場合、症状などに大きな差はありません。
しかし、治療薬には特別な配慮が必要です。
医師と相談したり、薬の添付文書をしっかり確認したりして、妊娠中でも使用できる治療薬を選びましょう。
A.お風呂の浴槽や洗い場では、疥癬に感染する可能性は高くありません。
しかし洋式トイレなどから感染することがあるので、注意が必要です。
またタオルなど、感染者が触れたものを共有するのは避けてください。
A.性交渉相手であるパートナーが疥癬の陽性になった場合、無症状であっても必ず検査を受けましょう。
今は無症状でも、症状が出る前の潜伏期間である可能性があります。
A.疥癬は飲み薬や塗り薬などで適切に治療すれば、完治する病気です。
ただし完治した後もかゆみが残ることもあり、再発のリスクもあることから、3ヶ月程度は皮膚の状態をしっかりチェックする必要があります。
今回は、疥癬の原因や症状、治療法、予防のポイントなどについてご紹介しました。
疥癬は、人と人との接触を通して感染する皮膚病です。
症状の悪化や、周りの方への感染拡大を防ぐためにも、早めに検査を受けて適切に治療しましょう。