B型肝炎とは？A・B・C・D・E型での症状・原因・治療方法・対策の違いをまとめました

1948年から1988年までの間に受けた集団予防接種などの際に、同じ注射器が連続で使用されたことによってB型肝炎ウイルスに感染した方は、40万人以上いるといわれています。

1989年から始まった訴訟を受け、2012年に「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が成立しました。

この法律により、国が被害者に対して給付金を支払う体制が整ったのです。

現在日本で問題になっているのは、B・C型肝炎の2種類です。

肝炎ウイルスのキャリアは、B型肝炎が少なくとも約110万人、C型肝炎が約90万人いると推定されています。

また肝炎を発症している方は、B型で約19万人、C型で約30万人とされています。

A型肝炎の検査は、感染機会から1～3ヶ月以内に受けるのが一般的です。

検査方法には、以下のような抗体の有無を調べるものがあります。

A型肝炎の検査方法

B型肝炎の検査は、即日検査の場合は感染機会より2ヶ月、精密検査の場合は感染機会より35日後から受けられます。

B型肝炎ウイルスの感染を調べる検査では、HBs抗原の有無を調べます。
B型肝炎ウイルスに感染すると、ウイルスの表面にあるHBs抗原と呼ばれるタンパクがたくさん作られて、血液中にも出てくるのです。

そこで、採取した血液中にHBs抗原があるかどうかを調べることによって、感染の有無を判断できます。

C型肝炎の検査は、即日検査の場合は感染機会より3ヶ月、精密検査の場合は感染機会より24日後から受けることが可能です。

C型肝炎の検査では、まずHCV抗体(C型肝炎ウイルスの感染によって作られた抗体)が血液中にあるかどうかを調べます。
HCV抗体検査で陽性の場合、現在C型肝炎ウイルスに感染しているか、過去に感染していたかの2つの可能性があります。

感染経験が認められた人に対しては、続いてHCV-RNA検査を行います。
この検査によって、現在C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかがわかるのです。

D型肝炎の検査では、以下の抗体の有無を調べます。

検査する抗体

E型肝炎の検査では、以下の抗体の有無を調べます。

検査する抗体

A型肝炎の治療で最も重要なのは、不必要な薬物治療を避けることです。
肝臓を保護しながら過ごすことで、ほとんどの場合回復し、免疫をキープできます。

A型肝炎はB・C型と異なり、慢性化することもありません。

しかし極めて稀に、劇症肝炎で死亡する可能性があります。

B型肝炎の治療法には、抗ウイルス療法(インターフェロンや核酸アナログ製剤を用いた治療法)と、肝庇護療法の2種類があります。

しかし急性肝炎の場合は、このような治療を行わなくてもほとんどのケースで完全に治癒します。

しかし、稀に劇症化するケースもあるので、注意が必要です。

C型肝炎の治療では、抗ウイルス療法によってウイルスを排除し、肝臓病の進行を止めることが重要です。

また、肝臓の炎症を抑える肝庇護療法によって、肝臓病の進行を遅らせる方法もあります。

D型肝炎を含めて、急性ウイルス性肝炎に対する特別な治療法は確立されていません。
主に抗ウイルス薬を使って、ウイルスの排除を行います。

また劇症肝炎が生じた場合は、肝移植が最も効果的な治療法とされています。

E型肝炎の経過を改善できるような治療法は、確立されていません。
通常、E型肝炎は自然に治癒するので、一般的に入院は不要です。

しかし劇症肝炎の場合は、入院が必要になる可能性があります。

A.急性肝炎を発症すると、発熱や食欲不振などの症状が出ますが、ほとんどの場合は自然治癒します。

ただし、稀に劇症肝炎を引き起こす可能性があり、最悪の場合は死に至ります。

A.妊娠中に母親が肝炎に感染すると、母子感染のリスクがあります。

母親が肝炎ウイルス検査で陽性になったら、出産後すぐに赤ちゃんに薬とワクチンを投与することで、多くの場合赤ちゃんの感染を防げます。

A.お風呂やトイレ、タオル共有などの日常生活では、肝炎に感染する心配はほとんどありません。

握手やハグ、くしゃみなどで感染する心配もないので、過度に敏感になる必要はないでしょう。

A.急性肝炎を発症した場合、基本的には慢性化することなく完治します。

しかし母子感染などで感染した場合は、肝臓にウイルスがとどまり、慢性化するケースもあります。

その場合は、肝臓病が進行しないように適切なケアが必要です。