クラミジアとは？症状・原因・治療方法・対策まとめ

クラミジアによる性感染症には、以下のような種類があります。
それぞれ感染が起こる部位が異なるため、確認しておきましょう。

クラミジアの種類

• クラミジア性尿道炎：尿道に感染が起こる
• クラミジア性精巣上体炎：尿道から感染が進み、精巣上体に達する
• クラミジア性子宮頸管炎：膣や子宮頸管に感染が起こる
• 咽頭クラミジア：喉の粘膜に感染が起こる
• クラミジア性結膜炎：目の結膜に感染が起こる
• 肛門クラミジア：肛門に感染が起こる

特に、目や喉などに気になる症状が出ても性感染症によるものとは気づかない場合が多いため、注意が必要です。

国立感染症研究所の発表によると、クラミジアの報告数は2016年から男女ともに増加しています。

2012年には定点当たりの報告数が男性11.81、女性13.45まで低下したものの、2016年以降は増加傾向が続いているのが現状です。

2021年には定点当たりの報告数が男性15.76、女性14.83となっており、幅広い年齢階級で増え続けています。

厚生労働省がまとめた性感染症報告によると、令和3年に報告されたクラミジア感染症患者は20～24歳の5,274件が最も多く、次いで25～29歳の3,696件、30～34歳の1,821件と続きます。

また、男女別の患者数に大きな差はなく、年齢性別を問わず感染する可能性のある病気であることがわかります。

そのため、少しでも気になる症状があるときは、早めに医療機関で検査を受けるのがおすすめです。

クラミジアは人の精液や腟分泌液などに存在する細菌なので、感染しているパートナーとの性行為によって感染する場合がほとんどです。

クラミジア性尿道炎やクラミジア性子宮頸管炎は、性行為によって尿道や子宮頚部がクラミジアに感染し、炎症を起こします。
クラミジアが尿道から精管を逆流して精巣上体に感染すると、精巣上体炎になります。

咽頭クラミジアは、口腔性交が主な原因です。咽頭がクラミジアに感染している場合、口腔性交により性器を感染させてしまうこともあります。

また、クラミジア性結膜炎は性交渉時に感染者の性器から出た分泌物に触れ、その手で目をこすってしまった場合など、肛門クラミジアは肛門性交により感染する可能性があります。
さらに、クラミジアは母子感染の可能性もあり、母親がクラミジアに感染している場合、分娩時に産道感染する恐れがあるので注意が必要です。

男性の性器クラミジア感染症では、感染してから1～2週間ほどで症状が現れる場合が多くなっています。

起こりやすい症状については、以下のとおりです。

起こりやすい症状

• 排尿時にムズムズとした違和感や不快感がある
• 排尿時に痛みや灼熱感があったり、しみたりする
• 透明から乳白色、サラサラであまり粘り気がないウミが出る

ただし、男性の場合は半数以上が無症状であるといわれているため、放置して不妊になることがないよう、気をつけなければなりません。
自分に症状が出ていなくても、パートナーに症状がある場合は、検査を受けることをおすすめします。

女性がクラミジアに感染した場合に現れやすい主な症状には、以下のようなものがあります。

起こりやすい症状

• 帯下(おりもの)が増加する
• 不正出血(生理時以外の出血)が起こる
• 下腹部に痛みが生じる
• 性交時痛がある

女性の場合は8割が無症状のまま進行するといわれており、何年も気づかないまま放置されてしまうケースも少なくありません。
しかし、初期段階できちんと治療しないとクラミジアが体の奥に侵入し、子宮内膜炎や卵管炎・腹膜炎などを引き起こす可能性があります。

また、不妊症の原因にもなるため、治るまで確実に治療することが大切です。

クラミジア性尿道炎は、排尿痛や尿道の痛み・尿道から出る膿が主な症状です。
ただし、ほかの細菌が原因で起こる尿道炎に比べて症状が軽く、痛みはそれほどひどくなりません。

膿も水っぽくて薄いため、症状に気づかないまま放置されてしまう恐れがあります。
似た病気に淋菌性尿道炎がありますが、淋菌性尿道炎のほうが発症するまでの経過が短く、症状も重い場合が多いのが特徴です。

男性の場合、クラミジア性尿道炎を治療せず放置すると精巣上体へと進行し、クラミジア性精巣上体炎を引き起こす原因になります。

クラミジア性精巣上体炎は精巣の背側にある精巣上体が炎症を起こす病気で、主な症状には陰嚢の脹れ・痛み・発熱などがあります。
重症化すると陰嚢の皮膚が赤くなったり、硬く腫れ上がったりすることもあるため、注意が必要です。

また、精管に沿って炎症が広がることもあり、その場合は太ももの付け根（鼠径部）や下腹部の痛みを伴います。

治療後に精子の通り道が詰まり、手術が必要になることもあります。

クラミジア性子宮頸管炎の主な症状には、おりものの異常や性行為時の出血・下腹部痛・右上腹部痛などがあります。

特に初期はおりものの増加が目立ち、悪化してくると悪臭のある色の濃いおりものが多くなります。
治療せず放置すると炎症が広がり、子宮筋層炎・卵管炎・卵巣炎などを引き起こすこともあるため、注意が必要です。

咽頭クラミジアは症状が出にくいため、気づかないまま人に感染させてしまっていることも多いといわれています。
悪化すると喉の腫れや痛み・咳・発熱など、風邪と間違えやすい症状が出るのが特徴です。

喉の見た目に明らかな変化はないことが多く、風邪と勘違いしたまま放置されてしまうケースも珍しくありません。

そのため、パートナーの感染が確認されたら、すぐに受診することをおすすめします。
性器へのクラミジアの感染がない場合でも、咽頭に感染している症例は多いため、注意が必要です。

クラミジア性結膜炎は、クラミジアに感染することで発症する結膜炎です。
初期症状はウイルス性の流行性結膜炎と似ており、まぶたの腫れや充血・むくみ・目やになどが起こります。

また、眼瞼結膜に小さなブツブツができることがありますが、放置すると大きくなってくる可能性があるため、注意が必要です。

新生児が母子感染すると生後1～2週間で発症し、充血や目脂が発生しやすくなります。

クラミジアが肛門に感染した場合、無症状であることも珍しくありません。
仮に症状があっても、肛門の痛みやかゆみなどのように軽微なものが多いため、気づかれないまま放置されてしまうこともあります。
肛門から直腸に感染が至ると、排便時の出血や肛門痛・粘血便などの症状が起こることがあるため、注意が必要です。

また、HIVなど他の性感染症に感染するリスクが高いため、早期治療を心がけましょう。

クラミジアの潜伏期間は1～3週間といわれています。
細菌の形態上、増殖するのに時間がかかるため、一般的な菌に比べて潜伏期間が長いのが特徴です。

同じ性感染症の一つである淋菌感染症の潜伏期間は2～7日とクラミジアより短いので、区別する際の判断材料にするとよいでしょう。

症状が出ていなくても体内にクラミジアの原因となる菌は存在するため、潜伏期間中も人にうつしてしまう可能性があります。
そのため、知らず知らずのうちに感染が広がることも考えられます。

クラミジアの検査方法には、次のようなものがあります。
それぞれ検査の内容や費用相場・結果が出るまでにかかる時間・検査精度もあわせてまとめたので、参考にしてください。

病院によって受けられる検査方法が異なる場合もあるため、受診する前に希望の検査を実施しているか確認しておくとよいでしょう。

検査方法まとめ

クラミジアの検査は、疑わしい症状がある場合であれば保険適用となります。

「特に思い当たることはないが、心配なので検査してほしい」「性風俗店で働いているので定期的に検査を受けておきたい」「ブライダルチェックとして検査を受けたい」などの理由で受診する場合は、保険は適用されません。
その場合は自由診療での検査となるため、病院ごとの検査費用を確認しておきましょう。

クラミジアの検査方法には、大きく分けて抗原検査と抗体検査の2種類があります。

即日簡易検査や精密検査・即日精密検査などは抗原検査の一種で、細菌が存在するかどうかを調べるための検査です。
主な検査内容としては、男性の性器クラミジアを調べるために行う尿検査や、女性の性器クラミジアを調べるために行う分泌物の採取などが挙げられます。
また、咽頭クラミジアが疑われるときに行ううがい検査も抗原検査の一つです。

一方、血液検査によってクラミジアに対する抗体があるかどうかを調べるのが抗体検査です。
抗原検査は感染から24時間以上経てば可能ですが、抗体検査は感染から4週間以上経過してから受けられます。

クラミジアの検査は、結果が出るまでの時間の違いによって、即日簡易(迅速)検査・精密検査・即日精密検査の3つに分けられます。

即日簡易(迅速)検査では尿や膣の分泌液を採取し、検査キットにたらすことで約1時間で感染を判断することが可能です。
精密検査と比較すると検査精度は低いものの、短時間で結果が分かるので、明らかに症状が出ている場合などにすすめられることが多い検査です。

精密検査はPCR法による最も精度が高い検査方法となっています。
結果が出るまでは2～3日かかりますが、症状がなくても検査することが可能です。

即日精密検査は精密検査とは違う遺伝子を調べる検査方法で、結果はその日のうちに分かる場合もあります。
「症状はないが、感染しているかどうかすぐに知りたい」というときは、即日精密検査がおすすめです。

クラミジアの検査方法を、部位別にご紹介します。

部位別検査方法

クラミジアは無症状の場合や症状が軽度な場合が多いため、妊娠している方でも感染に気づかない可能性があります。
クラミジアに感染している妊婦さんが経腟分娩すると、産道で感染を起こし、赤ちゃんが肺炎や結膜炎などを発症する恐れがあるのです。

産婦人科医院によっては、妊婦健診の際にクラミジア・スクリーニングを公的負担で実施しています。
もし陽性だった場合は、しっかり治療しておきましょう。

クラミジアを治療せず放置したままにすると、男性・女性ともに不妊症の原因になることもあります。

男性の場合は精巣上体にまで感染が広がると、精管がふさがって無精子症になってしまう恐れがあります。

女性の場合は子宮内膜が炎症を起こし、着床が起こりにくくなったり、卵管が狭くなって卵子が通過できなくなったりしてしまう可能性があるでしょう。

実際に、クラミジアが不妊の原因になった例も数多く報告されているため、注意が必要です。

クラミジアの治療には、抗生物質を使用します。

使用されることの多い抗生物質の種類や名称・服用方法・副作用・費用についてまとめました。

治療に使われる抗生物質まとめ

クラミジアの治療についても、検査と同じように症状の有無で保険適用かどうかが決まります。

保険が適用されればそれぞれの保険負担額の割合に合わせた治療費を支払えばよいため、負担が少なくて済むでしょう。
性病のみを扱うクリニックでは自由診療しか行っていないところもあるため、事前に確認が必要です。

クラミジアの治療薬として使用されるのは、マクロライド系・テトラサイクリン系・ニューキノロン系の抗生物質です。

マクロライド系の抗生物質には「アジスロマイシン」や「クラリスロマイシン」などがあり、胎児に影響する心配がないため、妊娠中でも使用できるのが特徴です。

テトラサイクリン系の抗生物質には「ミノサイクリン」、ニューキノロン系の抗生物質には「レボフロキサシン」があります。

症状が重く、経口薬で対処できない場合は、ミノサイクリンを直接静脈に注射することもあります。

クラミジアの治療は、主に抗生物質の服用となります。

1週間程度の服用で完治する場合が多くなっていますが、効き方には個人差があるため、人によっては2～4週間ほど服用が必要になることもあります。
抗生物質の服用を始めて症状が改善されても、完治したかどうかを確認するためには再度検査を受けなければなりません。
自己判断で薬の服用をやめてしまうと治りが遅くなるため、注意してください。

クラミジアには耐性菌も存在するため、抗生物質を服用してもなかなか完治しない場合があります。
もともとクラミジアは症状が出にくいこともあり、症状だけで完治したかどうかを判断するのは危険です。

そこで、抗生物質を一定期間服用したら、完治したかどうかを調べるための確認検査を受ける必要があります。
多くの場合、治療から2週間が経過したあたりで確認検査が実施されることになるため、確認しておきましょう。

A.結論からいうと、クラミジアが自然治癒することはありません。

治ったように見えても体の中には細菌が残っており、自覚症状がないまま進行しているのです。
そして、気づいたときには不妊を引き起こしている可能性があります。

ただし、クラミジアの治療薬である抗生物質の中には、風邪やほかの病気の際に処方されるものもあります。
そのため、違う目的で抗生物質を服用し、知らず知らずのうちにクラミジアを治していた、というケースはあるかもしれません。

A.潜伏期間とは「感染してから症状が出るまでの期間」のことをいうため、潜伏期間中もクラミジアに感染していることに変わりありません。

症状がなくても体内に細菌は存在しているため、この期間中も人にうつす可能性は十分にあります。

潜伏期間中でも、細菌が存在しているかどうかを調べるPCR検査を受けられます。
少しでも疑いがある場合は性的な接触を避けて、クリニックや医療機関を受診しましょう。

A.オーラルセックスにより、喉がクラミジアに感染する可能性があります。

思い当たる行為をしたときから1～3週間程度で喉の痛みや腫れ・発熱などの症状が現れた場合は、検査を受けたほうがよいでしょう。
喉の症状が出ると風邪と見分けがつきにくいと思いますが、風邪の場合は風邪薬を飲むと症状が軽減したり、鼻水や咳などの症状が伴ったりすることが多くなっています。
そのような症状が伴わず、1～2週間経っても症状が続いている場合は、クラミジアを疑うことをおすすめします。

A.クラミジアは粘膜同士の接触などにより感染する可能性が高まります。

咽頭クラミジアに感染していると、唾液を介して唇や舌にも病原菌が現れることがあります。
そのような人とキスをした場合、ディープキスであれば感染する可能性がありますが、通常のキスであれば感染の心配は少ないでしょう。
ただし、口の中に傷があったり、抜歯後で出血していたりすると、フレンチキスでも感染する可能性はあります。

A.クラミジアは感染者との性行為により50％の確率で感染するといわれている性病です。ゴムをすることで感染リスクを大幅に下げることができるため、正しい使い方を確認しておきましょう。

まず、使用期限を確認すること、挿入前から装着すること、サイズに合ったものを使用することなどを意識してください。

また、破けてしまわないよう、爪は短く切っておくこと、重ね付けはしないこと、空気を抜いて根本まで被せることなども重要なポイントです。

A.クラミジアは性行為によって感染する病気なので、パートナーが感染している場合はご自分にもうつっている可能性が非常に高いと考えられます。

初期段階では自覚症状がないケースも多いため、症状が出ていないだけで感染していることは十分にあり得ます。
せっかくパートナーが治療を受けて完治しても、ご自分も感染しているとまたパートナーにうつしてしまう可能性があるため、同時に検査を受けるべきです。

A.感染の可能性がある行為をしてからどのくらい経てば正確な結果が得られるのかは、検査方法によって異なります。

抗原検査の場合は思い当たるタイミングから24時間以上経てば、検査を受けることが可能です。
一方、抗体検査は正確な結果が得られるようになるまである程度時間が必要になるため、感染の可能性から4週間以上経たなければ検査できません。
タイミングを見極め、より正確な結果を得られるようにしましょう。

A.クラミジアは自覚症状がないケースも多いですが、女性はおりものに変化がみられることもあるため、よく観察しましょう。クラミジアが原因で起こるおりものの異常には、「においが強い」「量が多い」「黄色い」といったものがあります。

ただし、こうしたおりものの異常はクラミジア以外の性感染症でも起こることがあるため、それを確認するためにも検査を受けるのがおすすめです。

A.クラミジアは医師の指示に従って薬を服用すれば完治する病気です。

処方された薬を最後まで飲み切らなかったり、自己判断で容量を変えたりすると、薬に耐性のついた菌を増やす原因になります。
そうなると、完治まで時間がかかったり、重症化するリスクが高まったりするため注意が必要です。
医師に処方された薬を飲み終わったら、必ず確認検査を受けて完治したかどうか調べるようにしましょう。

A.抗生物質の服用を始めて症状が消えても、治療が完全に終わるまで性行為はNGです。

細菌はまだ残っているため、粘膜同士の接触によりパートナーに感染させてしまうことになります。
たとえコンドームをしていても、安心はできません。

オーラルセックスも、相手の喉に感染させてしまう恐れがあるので、避けてください。