バイアグラとは？効果・メリット・デメリット・入手方法を解説！

バイアグラは、もともと狭心症の治療薬として開発されました。
狭心症の臨床試験中に、陰茎勃起の作用が見られたことから、ED治療薬としての治験が始まったといわれています。
アメリカでは、1998年に販売が開始されました。

日本国内では、1999年に厚生労働省の承認を取得し、バイアグラの発売が始まりました。
2014年5月に、バイアグラの日本国内における特許期間が満了を迎えたため、厚生労働省から承認を得たシルデナフィル錠(バイアグラのジェネリック医薬品)が現在9社から販売されています。

また2016年には、フィルム状のバイアグラ(バイアグラODフィルム)の発売も開始しました。
バイアグラの名前の由来は、ナイアガラの滝(滝のように精力があふれ出す)やアーグラ(14人の子どもを授かり、多数の女性と関係をもつほど性欲旺盛だったというタージ・マハルが住んでいた町)など、諸説あります。

バイアグラには、大きく分けて以下の3種類があります。

バイアグラの種類

• バイアグラ
• シルデナフィル(バイアグラジェネリック)
• バイアグラODフィルム

いずれの種類も効果に大きな違いはありませんが、使い心地や費用面が異なります。

ここからは、バイアグラの種類ごとの特徴についてご紹介します。

バイアグラに含まれる有効成分は「シルデナフィル」です。
バイアグラの作用機序をご紹介する前に、男性器の勃起のメカニズムについて解説します。

何らかの性的刺激を受けると、脳の中枢神経が興奮し、「cGMP」と呼ばれる物質が体内で合成されます。
cGMPが合成されると、陰茎の海綿体(スポンジ状の勃起性組織)の平滑筋(内蔵や血管の壁にある筋肉)が緩み、陰茎に通常より多くの血液が流入するのです。その結果、勃起状態になります。

しかし、勃起状態が続くと不都合なので、男性の身体には勃起を抑制する酵素「PDE-5」が存在しています。
このPDE-5には、cGMPを分解する働きがあるのです。
性的興奮が落ち着くと、PDE-5がcGMPを分解し、勃起を収束させます。

EDは、PDE-5が性行為の際にも優勢の場合に生じます。
バイアグラの有効成分であるシルデナフィルには、このPDE-5の働きを阻害する働きがあるので、勃起を促進させる効果が期待できるのです。

バイアグラのメリットは、高い勃起効果が期待できることです。

効果が出始めるまでの時間は40～60分ほどで、効果は3～5時間ほど持続します。
したがって、性交渉の1時間前を目安に服用すれば、1回分は十分カバーできます。

バイアグラのデメリットとしては、効果や持続時間などにおいて平均的なので、場合によっては物足りなく感じる可能性がある点が挙げられます。

またほかのED治療薬と比べて、食事の影響を受けやすい点や、副作用が出やすい点にも注意が必要です。

バイアグラは、以下のような方におすすめです。

バイアグラがおすすめの人

• 性行為の満足度が低い
• 勃起するまでに時間がかかる
• あまり硬くならない
• 性行為の途中で萎えてしまう(中折れ)
• 2回目ができない　など

バイアグラは、陰茎につながる血管を拡張することで血行をスムーズにし、勃起しやすくする効果が期待できます。
バイアグラの効果は服用後40～60分ほどで表れるため、性行為の約1時間前を目安に服用するのがおすすめです。

またバイアグラの効果が持続する時間は、25mgで3時間、50mgで4～5時間ほどだといわれています。
ただし、効果の表れ方には個人差があるので、何時間効くとは断定できません。

また、バイアグラは強制的に勃起させる薬ではなく、性的刺激を受けたときにのみ勃起をサポートする薬です。
そのため、服用後ずっと勃起し続けるわけではありません。

実は、バイアグラの有効成分であるシルデナフィルには、ED治療以外への効果も期待されています。

国に難病指定されている「肺動脈性肺高血圧症」の治療薬として、厚生労働省から承認を取得し、2008年から発売されているのです。

肺動脈性肺高血圧症の治療薬としての薬剤名は、バイアグラではなく「レバチオ」です。

バイアグラは基本的に保険適用の対象外なので、費用は全額自費負担になります。
しかし厚生労働省は2022年4月から、不妊目的に限り、ED治療薬を保険適用対象と定めました。

保険適用対象になり得るバイアグラの種類は、以下のとおりです。

保険適用となる可能性のあるバイアグラ

• バイアグラ
• バイアグラODフィルム

ただし保険適用となる条件は厳しいので、不妊治療を偽っての保険適用は受けられません。

バイアグラを服用するタイミングは、空腹時がおすすめです。
食後に服用すると、腸壁に油の膜が張ってしまうので、バイアグラの成分が吸収されにくくなります。
したがって食後にバイアグラを服用すると、効果を実感しにくいです。

とくに脂っこいものを食べた直後の場合、薬の吸収が妨げられてしまいます。
やむを得ず食後の服用になる場合は、2時間以上あけてバイアグラを飲みましょう。

バイアグラは、服用してから40～60分ほどで効果が表れ始めます。
そのため、性行為の1時間前を目安に服用するのが適切です。

なおバイアグラの効果は、25mgで3時間、50mgで4～5時間ほど続きます。

上述したように、バイアグラは食後ではなく、空腹時に服用しましょう。
どうしても食事の直後に服用しなければならないときは、そばやうどんなど油分の少ない食事を選んでください。
また、お酒の飲みすぎは効果を低下させる原因となるため、過度な飲酒を避けましょう。

バイアグラは水で飲むのが一般的ですが、水がない場合はお茶やジュースなどの清涼飲料水でも問題ありません。ただし、グレープフルーツジュースで服用すると、薬が効きすぎて副作用が強く出るリスクがあるので注意しましょう。

またバイアグラを1回服用したら、24時間以上は間隔をあけてください。

バイアグラの使用期限は、錠剤が製造から5年、ODフィルムが製造から3年です。
ただし、これは未開封での使用期限なので、一度シートから取り出した薬は早めに使用しましょう。

バイアグラを保存する際は、直射日光を避けて室内で保管してください。

バイアグラの効果が満足に得られない場合は、食事の直後に服用していないかを確認しましょう。
食後2時間以上あけている場合でも、脂っこい食べ物だと効果が出づらいことがあります。

正しい服用方法を守っていても効果が感じられない場合は、医師に相談のうえでED治療薬の種類を変えたり、用量を調整したりする方法があります。

バイアグラでよく見られる副作用例は、以下のとおりです。

バイアグラで表れやすい副作用

• 顔のほてり
• 頭痛
• 目の充血
• 胸焼け

上記のような症状は、時間の経過とともに収まっていくことが多いです。

しかし、長期間症状が続く場合は、以下のような市販薬を使用して様子を見てください。

頭痛薬

• ロキソニン
• バファリン　など

胃薬

• ガスター
• タケプロン　など

また、あまりにも副作用が重度の場合は、医療機関に相談しましょう。

バイアグラには、「併用禁忌」があります。
併用禁忌とは、一緒に摂取してはいけない成分のことです。
バイアグラの併用禁忌としては、以下のようなものが挙げられます。

バイアグラとの併用禁忌薬(一緒に摂取してはいけない成分)

上記は、主に狭心症や肺高血圧症、不整脈に使用する薬です。
バイアグラと併用すると、薬の作用が強く出すぎてしまうリスクがあるので、上記の薬を使っている場合は必ず医師に申告しましょう。

そのほかにも、バイアグラとの併用を避けるべき薬はいくつかあります。
たとえばバイアグラと併用すると、効果が弱まったり、作用が強く出たりする恐れのある薬の一例は、以下のとおりです。

バイアグラとの併用を避けるべき薬

このように、バイアグラと併用できない薬や、注意が必要な薬は複数存在します。
そのため、現在服用中の薬がある場合は、診察の際に医師に相談するのがおすすめです。

以下の項目に該当する方は、バイアグラを服用できません。

バイアグラを服用できない人

• バイアグラの成分であるシルデナフィルに対してアレルギーなど、過敏症の既往歴のある方
• 硝酸剤またはニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジルなどを服用中の方
• 心血管系障害を有するなど、性行為が不適当と考えられる方
• 重度の肝機能障害のある方
• 低血圧(とくに最大血圧90mmHg未満、または最小血圧50mmHg未満)の方
• 高血圧(最大血圧170mmHg以上、または最小血圧100mmHg)の方
• 脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近6ヶ月以内にある方
• 網膜色質変性症(進行性の夜盲症)と診断された方
• アミオダロン塩酸塩(経口剤)を投与中の方
• 可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤(リオシグアト)を投与中の方

上記に当てはまる方は、バイアグラの服用によって血圧が急激に低下したり、健康を害する事象が生じたりするリスクがあります。
そのほか、未成年の方も基本的にはバイアグラを服用できません。

バイアグラをクリニックでもらう際の流れは、基本的に以下のとおりです。

バイアグラをクリニックでもらう流れ

1. 受付
2. 問診票の記入
3. 診察
4. 薬の処方

記入した問診票をもとに、医師による診察を受けます。
その際に服を脱いだり、触診をしたりすることは基本的にありません。

バイアグラは処方箋医薬品に分類されるので、薬局やドラッグストアなどでは販売されていません。

したがって、泌尿器科外来などで診察を受けたうえで、医師・薬剤師に処方してもらいましょう。

バイアグラは、オンライン診療でも入手できます。

オンライン診療とは、ビデオ通話などを利用して、遠隔で診察を受ける治療方法です。
オンライン診療には、以下のような方に適しています。

オンライン診療が適している人

• クリニックに通う時間がない
• ED治療をほかの人に知られたくない
• 感染症が心配

オンラインクリニックを利用すれば、処方された薬を自宅まで配送してもらえるので、診察から処方までの流れがすべて自宅で完結します。

バイアグラはネット上でも販売されていますが、通販および個人輸入で購入するのは避けましょう。
なぜなら、海外製の薬には劣悪な環境で製造されたものもあり、衛生面の保証がないからです。

個人輸入で手に入れたバイアグラで健康被害が起こった場合、国内の救済制度の対象にならないため、フォローを十分に受けられない恐れがあります。
このような事態を回避するためにも、バイアグラを個人輸入で手に入れるのは避けるのが無難です。

ネット上で違法に販売されているバイアグラのなかには、偽物もある点に注意が必要です。

誤って偽物を服用した場合、十分な効果を得られなかったり、想定されない副作用が表れたりする危険性があります。

とくにバイアグラは、ED治療薬のなかでも有名な種類なので、生産終了している製品も含めて偽物が作られやすい傾向にあります。
例えばですが、シルデナフィル成分の含有量が、日本より多く認められている海外用でも、最大100mgとなっていますので、150mgや200mgとうたっているバイアグラは100%偽物です。
偽物を購入するリスクを防ぐためにも、クリニックなど正規のルートで入手しましょう。

A.バイアグラを服用する前に、添付文書をしっかり確認することが大切です。

バイアグラの添付文書は、こちらをご覧ください。

KEGG「医療用医薬品 : バイアグラ」

A.バイアグラは、心臓に直接的に負担をかけることはありません。

しかしバイアグラによって勃起力がアップし、いつも以上に激しく性行為を行うと、心臓に負担がかかるケースもあります。
心臓に持病がある方は、事前に医師に相談するのがおすすめです。

A.陰茎のない女性に対して、バイアグラの効果はありません。

バイアグラは、男性特有のEDを治療する薬として治験が進められてきたため、女性は臨床試験の対象からも除外されています。
すなわち、女性に対する使用の安全性が確立されていないので、女性の方がバイアグラを服用するのはおすすめできません。

A.バイアグラは、ED以外の男性が服用しても問題ありません。

普通の人がバイアグラを使用すると、以下のような効果を得られる可能性があります。

ED以外の人がバイアグラを使用した場合

• 性的な刺激を受けたときに勃起しやすくなる
• 勃起後のペニスがいつもより硬くなる
• 射精後の回復力が高まる

バイアグラは、1回の射精で効果がなくなるわけではありません。
薬の有効時間内であれば、勃起しやすい状態が続きます。
そのため、2回目にトライしたい方などにとっては、バイアグラが活躍するでしょう。

A.バイアグラを割って用量を変えて使用するのは、正式な使い方ではありません。

バイアグラに記載されている使用期限は未開封の状態での期限であり、一度開封した薬の安全性は保証されないからです。

バイアグラの量を調節したいときは、独断で割って使用するのではなく、必ず医師に相談しましょう。

A.ED治療薬として広く知られている薬としては、バイアグラのほかにシアリス、レビトラがあります。
それぞれの薬の特徴は、以下のとおりです。

バイアグラ・シアリス・レビトラの特徴

上記のように、バイアグラに比べてシアリスは持続時間が長く、レビトラは即効性が高いという特徴があります。
性交渉までゆっくりと時間を過ごしたい方には、シアリスがおすすめです。
一方で、すぐに効果を実感したいなら、即効性に優れたレビトラが適しています。

A.性行為に対する不安や焦り、緊張などが大きい方は、バイアグラを服用しても本来の効果が得られにくい可能性があります。
そのような場合は、精神安定剤と組み合わせて気持ちをリラックスさせることで、高い効果が期待できます。

精神安定剤との併用は、必ず医師の判断のもとで行いましょう。

A.バイアグラを使用したからといって、ペニス増大の効果はありません。

バイアグラは、あくまで性的刺激を受けた際に、ペニスの勃起をサポートするための薬です。
しかし人によっては、いつもより硬く勃起することによって、ペニスが大きくなったように感じるケースもあります。

A.バイアグラは性欲を引き起こす薬ではないので、性行為の回数が増えるかどうかは、その人の性欲次第といえます。

バイアグラによって性行為の回数が増える方の多くは、もともとEDの発症前に性行為を複数回こなしていた方です。
2回目を行うだけの性欲はあっても、ED発症をきっかけに性行為がうまくいかなくなっていた方が、バイアグラによって2回目を行えるコンディションに戻る可能性があります。

A.バイアグラを長期間服用していても、身体的依存性が出る心配はありません。

また薬に対する耐性ができて、効果が薄くなることもないので安心してください。
ただし加齢に伴って、薬の効果が感じづらくなることはあります。

とくに50歳以上の年齢の方で、バイアグラの効果が感じづらくなった場合は、医師に相談のうえで薬の用量や種類の変更を検討すると良いでしょう。

A.2021年12月、アメリカの科学誌に掲載された研究において、バイアグラの有効成分であるシルデナフィルが、アルツハイマー病の予防に役立つ可能性があることが示されました。

シルデナフィルの服用者は、アルツハイマー病の発症リスクが69%低いことが明らかになったのです。

このようにバイアグラはEDだけでなく、認知症にも効果を発揮する可能性があると考えられています。